趣里さん主演で好評を博している2023年度後期朝ドラ「ブギウギ」。同作はブギの女王と呼ばれた笠置シヅ子さんをモデルとしたドラマですよ。
今回は笠置シヅ子さんの生涯を振り返ります。
笠置シヅ子の生い立ち
1914年に生まれた笠置シヅ子(本名・亀井静子)さん。名家、三谷家の父と家事手伝いとして同居していた母の間に生まれたものの、二人の結婚が認められなかったことや父が早逝したこと、母の生活が苦しかったことなどから、笠置シヅ子さんは産まれて半年した頃に亀井家の養女となりました。養母の亀井うめさんは、我が子以上に女の子であった笠置シヅ子さんを溺愛し、5歳になった頃から踊りや三味線を習わせました。
歌と踊りで近所の人気者に
第一次世界大戦の影響から米売りではなく銭湯を営業するようになった亀井家。笠置シズ子さんは家業の銭湯の脱衣所で歌と踊りを披露し、近所の人気者となっていました。13歳の時にはその評判を聞きつけた芝居小屋から熱望され、浪花節の芝居に子役で出演したりもしています。その後、宝塚音楽歌劇学校を受験した笠置シヅ子さん。周囲からの太鼓判もあり、自信を持って受験したものの、筆記、面接試験を突破した後の体格試験で「上背が小さく極度の痩せ型だから気管が弱いだろう」と判断され、不合格に。笠置シヅ子さんは自信を打ち砕かれることとなりました。
松竹楽劇部生徒養成所に入所
しかし笠置シヅ子さんはめげず、宝塚に対抗していた松竹楽劇部生徒養成所への入所を決意、事務所に直接乗り込み直談判を行うと、特例での入所が認められました。最初のうちは下働きに酷使されていたものの、彼女の入所を認めた音楽部長、松本四郎さんに気にかけてもらい、入所半年後に初舞台を経験。更に自身も先輩に追随し参加したストライキ「桃色争議」の影響で図らずも先輩たちが解雇、謹慎処分になったことから多くのチャンスが巡ってくるようになりました。
歌手としても頭角を現す
1934年、松竹楽劇部が「大阪松竹少女歌劇団」に改称し、千日前の大阪劇場に移転した頃、笠置シヅ子さんは劇団でも目立つ存在となり、日本コロムビアから「恋のステップ」でレコードデビューも果たしました。「踊りでは世に出られない」と声楽への転向を図り、そのキャリアはより一層輝いていくこととなります。
松竹楽劇団へ参加
1938年、松竹は男性も入れた大人向けのレビュー団創設を計画、「松竹楽劇団」が創設され、家族を養わなければならない身となっていた笠置シヅ子さんは条件が良かった同劇団への勧誘を快諾。同劇団には演者から団員を支えるメンバーまで、錚々たるメンバーが揃っていましたよ。笠置シヅ子さんはここで作曲家、編曲家である服部良一さんと出会い、彼の熱心な指導もあって歌手としてより高みへと登ることとなりました。
松竹楽劇団解散、独立へ
東宝との二重契約問題などもありながら、松竹楽劇団の大スターへと成長した笠置シヅ子さん。養母の死に目にも「舞台を守ってた方がよろこんでくれますやろう」と舞台に上がり続け、松竹楽劇団を支えるために大車輪で歌い続けていきました。しかし日中戦争開戦以降、同劇団は逆風に晒され、1941年に遂に解散に追い込まれ、笠置シヅ子さんは服部さんの援助も受けて独立、新たな挑戦が始まりました。
太平洋戦争開戦による逆境と幸福
しかし、戦時下に笠置シヅ子さんは「ジャズという敵性音楽を歌う敵性歌手」と見られ、十全な活躍ができなくなってしまいます。更に非常に可愛がっていた血の繋がらない弟が戦死、その知らせを受け悲嘆に暮れることに。師の服部さんと共に苦しい状況に追い込まれましたが、一方で1943年、笠置シヅ子さんは生涯で唯一の恋愛相手となった早稲田大学生、吉本穎右さんと出会い、惹かれ合っていくことになります。芸能人として苦しい時期の笠置シヅ子さんの活動を支えていたのもまた、吉本さんでした。
出産と婚約者の早逝
1946年に笠置シヅ子さんの妊娠が発覚、1947年には身重ながら「ジャズ・カルメン」の舞台を全力でやり遂げた笠置シヅ子さん。この舞台を機に引退し結婚しようと考えていた笠置シヅ子さんですが、同年5月18日に婚約者、吉本さんは早すぎる死を迎えます。悲嘆のどん底の中、6月1日に娘を無事出産した笠置シヅ子さんは、乳飲み子を抱えながら芸能界へカムバックすることになります。
ブギの女王の誕生
婚約者を失い、悲嘆に暮れる笠置シヅ子さんを励ますために、服部さんはその苦境を吹き飛ばすような華やかな再起の場を設けることを決意。また、敗戦に沈む日本人に活力を与えるためにもと、明るい楽曲の作成を試み、そうして完成したのが「東京ブギウギ」でした。笠置シヅ子さんはこの曲と素晴らしいアクション、咆哮のような力強いヴォーカルで日本国民を魅了しました。以降、「ブギもの」を次々とヒットさせた笠置シヅ子さんは、ブギの女王と呼ばれるようになりましたよ。
最後に
今回は笠置シヅ子さんの生涯を振り返りました。
後年は役者としても活躍した笠置シヅ子さん。波瀾に満ち溢れた人生ながら、その生き様で多くの人に希望を与えた方だったのですね。
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